自由、不安

前の会社を退職し、土日を過ごし、平日になっても、会社に行く必要がない。

 

しかも、それが、1週間ほど続くという時間が、社会人になって以降、初めて訪れました。

 

何か心にぽっかり穴が空いたような、そのような感覚です。

 

10年以上、同じ会社に勤め、その会社との繋がりが切れることが、社会との繋がりが切れることと直結するかのような、不安にかられていました。

 

(そのような不安、心配になるような感覚を持つこと自体が、今の社会から、悪魔的な洗脳をされていたという証明になるかと。社会をひっくり返すと、会社になる理由がそれなのかなーと漠然と思いました。)

 

今回の転職により、勤務地が変わり、引っ越しすることにしました。

 

(前の会社のときに、転勤していたため、元々の出身地に戻ることにしました。)

 

とは言え、10年もいると、地域でのコミュニティや、馴染みの安いスーパー、子供のかかりつけ医、学校といった生活関連のインフラが整っています。

 

家族には自分の我儘で、引っ越しすること、転校することになってしまったことを、大変申し訳なく思います。

 

とは言え、転職先の会社も待ってはくれません。

 

(結局は、生活のために、お金が必要で、会社で働くほか道がない、という感覚を持たざるを得ないその状況自体も、悪魔的な考えであると今は、そのように思います。)

 

引っ越しの準備に3日ほど費やし、一旦、単身で行くこともあり、残りわずかな時間で、家族と10年余り過ごしたその地でのことを振り返る意味でも、思い出作りをしました。

 

そして、数日が経ち、家族を一時的ではありますが、馴染みの土地に残し、一人、旅立ちました。

 

(旅立ったと言っても、実家に帰省したようなもので、実際、実家に身を寄せ、そこから転職先へ出社し、残してきた家族がこちらへ来るタイミングで家を借り、また一緒に住む計画でした。)

 

新幹線のホームで、家族に見送られ、一時的とはいえ、離れてしまうことが、心苦しく、悲しい思いでいっぱいでした。

 

とは言え、自分自身が選んだ道、迷うことなく行くしかありません。

 

実家に着くと、お帰りーと、私を待っている両親がいました。

 

前の会社で転勤して以降、たまに帰省はするものの、多く話をすることもできませんでした。

 

そのため、前の会社でのこと、これまでの生活のこと、様々なことを、話しました。

 

(私があまりに前の会社のことをくどくど言うため、母親からは、もうええわーと言われる始末でしたが。)

 

そして、翌日、新天地である転職先への、初出社日となりました。

 

朝からドキドキしながら、身支度を整え、電車に乗って出社し、会社での受付を済ませ、ロビーで待っていました。

 

ロビーで待っていると、人事部の担当の方に案内されました。

 

案内された先の一室に入って待っていると、後から他に2名いらっしゃいました。

 

私と同様、その日に初出社日を迎えた、転勤者です。

 

一人は風格のある年配の方、もう一人は見た目は年下ですが、しっかりとした好青年、そのような印象でした。

 

すると、人事部の案内担当の方に、ホールのほうに案内されました。

 

ホールのほうに案内されると、多くの従業員が、着席していました。

 

その日は、たまたま、その会社における、期の変更のタイミングで、新たな期がスタートする日でした。

 

その後、エレベーターホールよりのドアから、社長が入室してきました。

 

そして、壇上の上で、これまでの成績、これから先の展望、従業員に期待することについて、お話をされていました。

 

前の会社でもそうでしたが、従業員の多い会社においては、ありきたりな風景でした。

 

ただ、転職者である自分としては、まだ特に愛社精神もないため、ふーん、ぐらいにしか思わなかったのが、正直な気持ちです。

 

(後に、他の転職者の方とも話をする機会もあり、いろいろと聞いていく中で、ほとんどの人達は愛社精神もなく、たんたんと仕事だけしているという印象でした。どこの会社に行っても、社畜ロボットにならざるを得ない、社会であると認識しました。)

 

その後、初日は、人事部のオリエンテーションを受け、必要書類をひたすら記載しては提出し、夕方頃に、所属部門へ案内されました。

 

所属部門のフロアーへ案内される際に、同日に入社した年配(仮称:Tさん)の方と共に、人事部の担当に、所属長にところへ案内されました。

 

あれ?まさか、同じ部門?と、心の中の私が言いました。

 

案内された瞬間、所属長が、皆さん、一旦、手を止めて集まって下さい、と。

 

今日から新しく入社頂いた、Tさんと、Zさんだ、と。

 

では、まず、Tさんから自己紹介を兼ねてご挨拶を、と。

 

そして、手慣れているかのように、巧みに言葉を発し、挨拶をされる、Tさん。

 

すげー、と純粋に思っていたところで、次は、Zさん、と話しを振られました。

 

Tさんの凄味に驚嘆し、何も考えていなかったことと、囲まれている状況にハッとし、名前は言ったものの、その先は喉の奥がつっかえ、言葉が出てきませんでした、はい、沈黙です。。

 

新天地での第一歩、失敗したー、と思いつつも、前の会社で捨てた名誉欲が無い分、ま、いっかと開き直れました。

 

初日が終わりました。