悪組織、新たなる救世主

賽は投げられた。

 

Sさんから、私達の思いを載せたメールが、通報窓口に送信され、事態が大きく動き出しました。

 

先輩社員のHさんは、その件を知り、やりやがった、と小声で呟いていました。

 

Kさんからの恩恵を受けていたHさんからすると、これまでの平穏で楽な会社生活を揺るがす事態であり、自分自身もどうなるか気が気でなかったようです。

 

また、私に対し、この部署動きあるぞ、と言っていました。

 

(メールを送信したのは、Sさんであり、私はこの件に絡んでいないと判断していたのだろうと思います。)

 

しかし、動き出した流れは、もう誰にも止めることができません。

 

まず、人事サイドが、実態調査のため、内密、かつ個別にヒアリングを実施することになりました。

 

Sさんは、本社に呼ばれ、人事マネージャーよりヒアリングを受けました。

 

私は、人事担当の別のマネージャーの方から、内密にと言われ、年次有給休暇を取得し、自宅最寄駅のカフェで、ヒアリングを受けました。

 

ヒアリングを受け、一ヶ月経ちましたが、事態に大きな変化がありませんでした。

 

その間も、部署での業務はあるため、SさんもKさんと接触しなければならず、相当のストレスを抱える事態に陥っていました。

 

人事は何をしているんだ。。

 

このままでは、Sさんが倒れかねない。。

 

それほどの重圧が部署を覆っていました。

 

そのような中でも一筋の光がありました。

 

Kさんに唆されて、ハイハイしていた健康管理室の方が定年退職となり、新たな方(仮称:Nさん)が健康管理室に入られました。

 

この通報の件について、Nさんが、個別にSさんとKさんにヒアリングを行いました。

 

Nさんは、両者へのヒアリング後、私を呼ばれました。

 

Sさんはこのような状況でも仕事を何とか回そうとしているのに、先輩社員であるKさんは、Sさんの文句ばかり、ここの上役の人達は一体、何をしていたの?、と。

 

この人は信用できると、判断した私は、これまで起きたこと、工場本部の状況について、Nさんに共有しました。

 

Nさんは、私がここに来たからには、絶対に変えてやる、と意気込んでいました。

 

10万力になりました。

 

それでも、Sさんの苦痛の日々は続きます。

 

事態の進展もないまま、とある時、Nさんと話しをしていたときに、Zさん、元上司とかお偉いさんに相談できるような人いないの?、と言われました。

 

元々の上司が、今の会社役員ですけど、3年以上、連絡も取ってないですしねー、と答えました。

 

それに対し、Nさんから、例えそうでも、元上司なら何かしら力になってくれるんじゃない?、と言われ、久々に、元上司の会社役員にメールで連絡を取りました。

 

すると、すぐに返信が返ってきました。

 

内容として、今度、工場の視察に行くので、その時に飲みに行きましょう、とのことでした。

 

えー?!どういうこと?!一瞬、目を疑い、何度もメールを見返しましたが、夢ではありませんでした。

 

元上司とは言え、そこまでコミュニケーションも無かった、にも関わらずの展開で、自分にとっては、驚天動地の大事件です。

 

そうこうしている内に、工場の視察日になり、元上司の会社役員と飲みに行くことになりました。

 

席につくやいなや、役員のほうから、相当苦労しているみたいやなー話は全部聞いている、と。

 

人事のほうが、全く、この件で動いていないから、喝を入れておいた、と。

 

Kのような奴が出てくるのは、工場本部の組織的な問題だ、と。

 

良い機会なので、全部、膿を出し尽くす、協力してほしい、と言われました。

 

あまりに急で、自分には大き過ぎる話だと思いましたが、断る理由もなく、わかりましたとだけお伝えしました。

 

そのような出来事が裏でありつつも、日々の業務は進んでいきます。

 

そして、Kさんの管理職の合格発表日が近づいてきました。

 

Kさんが受けた最終試験は、落ちることはほぼなく、最終試験を受けた人は、100%管理職になるものでした。

 

しかし、この件によるものか、人事の働きによるものかは定かではありませんが、Kさんは最終面接に進んだ中で、唯一、不合格になりました。

 

不合格が決定したKさんは落胆、と同時に、Sさんに対する怒りが、ますます露わになってきました。

 

Kさんが、Sさんを貶めようと、工場の上役(仮称:Yさん)と工作をするメールのやり取りをしていました。

 

(通報窓口に連絡がいった段階で、関係者のメールの内容について、閲覧できるようになっていました。)

 

その件に加担したYさんは、人を貶めるようなメールの内容を、人事サイドから突き付けられ、何もすることも言うこともできなくなりました。

 

そのようなYさんの状況を目の当たりにし、Kさんに加担していた他の人達も、Kさんの元から去っていきました。

 

しかし、そのような最中でも、工場本部の膿を出し尽くすための、役員の動きは止まりません。

 

役員のほうから、私のほうに、工場の過去からの問題、セクハラ、パワハラ等、見聞きしたものを報告するよう指示がありました。

 

(ここまで来ると、特命係長ならぬ、特命平社員ですね。)

 

工場の中を回って、人と知り合い、打ち解けては、様々な情報を入手し、工場の秩序のため、内密に動きました。

 

そして、あくる日、役員の方から、食事に誘われました。

 

それまでの、調査内容をまとめ、報告しました。

 

その情報は知ってる、それは誰から聞いたのか?と、ヒアリングを受けました。

 

私が徐々に尋問されているような雰囲気を醸し出したためか、役員のほうから、これぐらいにしとこか、と言われました。

 

そして、そこで、Kさんの今後について、告げられるのでした。